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……僕、何しにここにきたんだろ。
生徒にはいじめられるし、不登校児を学校に行かそうと部屋にのりこめばこのざまだ。
ま、ゴキブリに殺されるのも悪くないか
なんて思い、ふっと笑みを浮かべた
「なに笑ってんの、気味悪いな。」
知らない男の声が聞こえたが、これは幻聴だろう
恐怖のあまり、聴覚がイカレてしまったようだ
「なになに、無視ですかー?
命の恩人様を無視するんですかー?」
人を馬鹿にしたような声に少しだけ苛つく。
だがこれは幻聴なのだ。怒っても意味はない
我慢だ我慢
「…もういいよ、どっ、どうせ俺なんかのこと、いっ、命の恩人とか、思って、おお思ってないんだろ。どうせくずやろうと、とととか思ってんだろ……ぅっうぅひっ…く…」
リアルな幻聴、帰ったら病院に行かないとかな…
いや、どうせゴキブリに殺されるんだ。
病院に行くどころか、もう二度と家には帰れないんだろうな。
あぁ、お母さんお父さん。先に旅立つ僕を許してください
「…無視なんて、…ひっく…酷い…よ」
…ん?ゴキブリといえば、奴らが飛びかかってきてからもう数分はたっているのに、どうしていつまでたっても体に痛みが走らないんだろう。
あんなに威力をもっているのなら、僕はもうすでに八つ裂きのはずなのに…
かたく閉じた瞳をゆっくり開くと、僕は異様な光景を見てしまった。
白衣を身にまとった一人の男が、体育座りで泣いていたのだ……そしてその周りには、僕を襲ったゴキブリたちがその男を慰めるかのように集まっていた
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