†不登校な生徒†

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恐る恐る白衣の男に近づくと、顔を覗きこむようにしてしゃがんだ ゴキブリが僕を警戒しているのか、こちらに体を向け、いつでも襲いかかれるんだぞと主張する 「えっと……うん? 君は、誰かな」 あのゴキブリを従えさせていることから、ただものではないことはわかる わかるのだが… 「ど、どうせ俺なんか…俺なんか……」 なぜこんなに落ち込んでいるのだろう 体育座りをしながら、ぶつぶつと一人で喋っている彼は誰が見ても不気味に感じるだろう 「…どうしたの?何かあったの? それともどこか痛いところがあるの?ん?」 なるべく優しくたずねると、男は嗚咽まじりに喋りだした 「べ、べべっ別に気にしてないし… あんたに無視されたっことき、気にして…くっ…ないし…ひっ…ぅうぅ」 「無視?」 …したっけ?そもそも、今初めて話したよね それに僕はチキンなんだ、初対面相手に無視なんてできるはず…… あっ! 「さっきの幻聴…」 あれ、この人の声だったのか……妙にリアルだと思ったけど当たり前だよね。普通に喋ってたんだから 「………幻聴? あぁ、俺の声は幻聴扱いですか。 いいですよ、慣れてるんで……なんなら俺の存在も幻扱いしてもいいですよ どうせ俺のこと、嫌いなんでしょ。 初対面に嫌われるほど俺ってきもいんですね あ、決して無視されたことは気にしてないですよ。本当ですよ、全然大丈夫…なんで……うぅ…」 …って、この人僕に無視されたこと気にしてないって言ってるけど絶対気にしてるよね いきなり滑舌になったかと思ったら、最後に嗚咽混じってたし この人、めんどくさいな…
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