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俺が馬鹿にしたような視線を投げかけると、脇役平凡先生はこめかみを押さえて溜息をついた。
…溜息つくたび幸せが逃げまちゅよ?
「学園まで歩いていくのがめんどうって言うなら、車で送ってあげるよ。これじゃ駄目?」
「えー、そもそも自宅警備員なのに勉強する必要ないっていいましたよねー。俺にプラスなことがないです。」
ブーブーと唇を突き出してついでにお茶を飲ませようと試みる。
さっきからお茶に手をつけないでいるから、こいつ、飲まないで帰ろうとしているな
「んー、少しは考えてくれないかな。きっと親御さんたちも心配してるよ、将来的な意味でね。
…ところでお茶を僕に近づけてどうする気?飲んだらあの世にイッテQしそうだから勘弁して欲しいんだけど。」
「いや、せっかく淹れたんだから飲んで下さいよ。
飲まないとかほざいたらお引き取り願いますからね。
ほらほら、いいんですかー、飲まないと俺と会話ができませんよ?」
あくどい笑みを浮かべながらお茶の入ったカップを脇役平凡先生の口に押しつける
せめて、一口だけでもいい。
この試作品Xのお茶を飲んでくれ!俺のお気に入りなんだ、すっごく不思議な味わいで美味しいんだ。
「……そう、残念だけど、また今度訪問させてもらうね」
えぇぇえぇ!?
まさか飲まないを選択するの!?
この薄情者!あたしとあんたの命、どっちが大切なのよ!
と思いつつ、かなりの精神ダメージを食らった俺は、席をたつ脇役…もう先生でいいや、先生にどう声をかけていのかわからず、お茶を片手に立ち尽くした。
その間にも先生は玄関の方に歩いていく。
だめ、いっちゃ嫌だ。
「城之崎くん?」
いつの間にか俺の手は先生の服の裾を掴んでいた。
先生は驚いた顔で振り返ると、俺の泣きそうな顔を見て焦り出す
「え、…と。大丈夫?どこか痛いの?」
それ、さっきも言ってたよな。と思い、かっこつけて笑うと、鼻水がしたたり落ちてきて俺の服を汚した。
それが引き金だったかのようにぼろぼろと涙が頬を伝う
ふっ、男の涙は、貴重なんだぜ?
「ぜんぜ、おね゛がい!がえら゛…っない゛っで!!おね゛がい!」
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