1章

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Ⅰ 魔法をその身に宿した者を養成し、育てる。 その教育機関が集中している場所がここ、魔族特区。 魔族、と言えば聞こえが悪いがこれは決して悪い意味ではない。 魔力を持つ者は政府に登録する事を義務付けられ、聖騎隊に入りたいと願う者は 有志でこの魔族特区に集められる。 家族でそのまま引っ越す事も可能だが、大半の場合が本人だけが集まってくる。 当然、中にはホームシックになる者も少なくなく、そういった者達の精神的負担を減らす為に、魔法を持つ人達はみんな一つの家族なんですよ~という意味で敢えて“魔族”という言葉を使っている。 そんな魔族特区の街を、 「だああぁぁぁっ!? 何なんだよ!?」 御剣 剣輔は全力で逃げていた。 「あぁもうちくしょう!もう意味わからん!」 我ながら変態じみた叫び声だと思いつつも、御剣はその足を止めない。 五人。 それが今日の“相手”だった。 もうかれこれ三キロ近く全力で逃げているのに、まだ五人。 この五人というのが女の子だったら、ちょっと嬉しかったりもするのだが、無論そんな訳もなく。 後ろを見ると、 「待てやゴラァァァァァ!」 いかにも、な男がそれも五人。 両手に火の玉やら雷やらを迸らせながら追ってきたら、それはそれは嬉しくない。 “今の状態”の御剣が相手をしたって二分と持たない。 の前にまず『無理』だ。 薄汚れたポリバケツを蹴り飛ばして、不吉な象徴でもある黒猫(縁起でもないときに現れる)を追い払うように、御剣は走る。
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