桜木ケント

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――だって、そうだろう? 個人の感情なんてそっちのけ。ちょっとでも金持ち。ちょっとでも人気者。そんな奴らに媚び打って、群がって。 とっても貧乏。とっても大人しい。そんな奴はゴミ扱い。 いつも一人でいる冴えない男子。つまり、僕みたいなのは変人で気味が悪いってなワケ。 「はぁ……」 今ので百二十八回目だな。 とにかく、寒くても行き場のない僕は自然とでる溜め息を数えて時間を潰す。 これでも、ずいぶん頑張って通っていたんだ。 だってさ、誰が想像つく?中二で兄貴よりもデカくなるって。 入学式にはちょっと緩いおさがりの制服が、中二になる頃には二センチも丈が足りなくなるなんて。
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