敵討ち

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 目には目を歯には歯を、ハンムラビ法典に記載されている有名な言葉である。社会に公平性を持たせ、社会弱者を救済する意味がこの言葉にはある。民主主義の原理はこの言葉によって証明され、今もなお、多くの人間に知られている。やられたらやり返す。野蛮にも聞こえるが、これもまあ一つの解釈としては間違いないはずだ。しかし、こちらの考えも肯定してしまうと、「親をやられたから仕返しに殺す」と直感したカニを正当化したことになってしまう。これは非常に危険である。  一方で、事故を起こしていったけど反省しないサルも曲がった性格の持ち主であろう。反省して死んだカニのお墓をつくってあげるくらいのことをしてあげるつもりでなくてはならない。  ここに行き着いた結果、決してどの考えも優れている訳でもなく、劣った考えもないことだった。だからこそ、情報を鵜呑みにせず、しっかり自分たちで判断していく必要がある。僕は偏った情報を鵜呑みにし、犯罪を起こした上、少し前まで自分を正義と判断してしまっていたのだから。  真っ暗の部屋の中で、僕はそう思った。
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