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「メリークリスマス」
墓前でそう呟いた。
思えば仏教なのにキリストの誕生日を祝ってるんだよね……
少しおかしな気分だった。
人気はなく、不思議と冷たい風も落ち着いていて
どこか暖かい。
「ねぇ、覚えてる?君が死んだ年も、こんな雪の降らないつまんない冬だったよね?」
無論、返事が返ってくる事はない。
でも、私は続けて話す。
「それで、君に雪を降らしてよって無茶言ったり……でも君は私の願いを一つ叶えてくれたよね、熊のぬいぐるみ……ありがとう」
「でもね、君の事忘れられないんだ。もう1年経つのに……早く、前に進まなきゃいけないのに」
「あのぬいぐるみが君を映し出して……あの時を思い出させるんだ」
「ねぇ……なんで死んじゃったの?」
あれ?
目の前が霞む。
いつの間にか
泣いてる……
冷たい雫が頬を伝っていくのがわかる。
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