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本日入居します。
ガタンゴトンと音を立て揺れる電車。
その車内に大きなスポーツバッグをもった男が一人。
「明日から大学生か…」
車窓から外を眺め見つめる姿は、冴えないオジサンの様だ。
別に禿げているわけではない。
だが彼から発するオーラは間違いなく疲れたサラリーマンと同色のものである。
次は~♪恋ヶ丘~♪恋ヶ丘~♪
電車のアナウンスがなると同時に礼は立ち上がり、搭乗口のポールにもたれ掛かる。
「次だ…」
これから最寄りとなろう駅はすぐ次の駅…
だが礼にとってどうでもよい場所である。
礼は大学に何の希望も持っていなかった。
サークルに入るつもりもゼミに入るつもりも全くない。
ただ働くにもなりたい職が無かった。
それが理由である。
間もなく恋ヶ丘~♪恋ヶ丘~♪
「さてと…」
礼はスポーツバッグを肩に背負い降りる準備をする。
これから始まる奇跡など全く期待せずただあるがままの時を過ごす為に。
フシュー。恋ヶ丘~♪恋ヶ丘~♪恋ヶ丘です。
「やっと着いたな…」
搭乗口が開きホームへ降りると改札口を出、地図を頼りに恋愛荘へ向かっていった。
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