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道ゆく、人々は幸せそうに歩いている、家族連れに、若いカップル 、会社の同僚や上司と部下らしき連中、クリスマスケーキを売るバイトの少年などなど、ひとしおにクリスマスを楽しんでいるのだろう、一人で歩く、俺が、惨めで仕方ない。
「どうぞー、そっちでクリスマスケーキ販売中です、一ついかがですかー」
サンタクロースの衣装を着た太った男が、ビラを配り、宣伝していた。
惨めさがよりいっそう強くなる、まるで、一人で淋しく、ケーキでも食べていればいいと遠回しに言われているようだった、自意識過剰だとわかっていても、惨めさは深くなる一方で、収まる気配などない。
「どうぞ、一枚」と、一枚、差し出され
「…………」
無言のまま、受け取った、捨ててやろうかと思ってもガキ臭いとやめて、ポケットに突っ込んで、そのまま、まっすぐ、帰る。
勿論、ケーキなんて、買うつもりなんてない。
惨めさと、やるせない気持ちも加わって、ずーんと胸の辺りが重いくて辛い。
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