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仏頂面で正面を睨む俺と、そんな俺の両肩に手を置いて、ニコニコと笑う、あの人の写真。
初めて、二人で撮った。
他の全ての記録を処分できても、図々しくも処分出来ずに残り、部屋の片隅に鎮座している。
クリスマスなんて嫌いだ、幾度も思う、何度も想い、辛い記憶が蘇る。
あの夜、あのクリスマスパーティーに出席して、規模の大きさと、自身の場違さにいたたまれないまま立ち尽くす、俺に「楽しもうよ」と話し掛けてくれて、手を握って連れ出してくれた、あの人。
テンパり、緊張して、頭の中は真っ白になったけれど、あの人の手から伝わる温もりだけは今だに覚えている。
好きになったのだと
単純で、みっともない、若くて、情けないけれど、諦めるという気持ちだけはなかった。
振られること、覚悟での告白も、がちがちに緊張していた自分も、受け入れてくれたあの人も、全てが、夢だった。
夢にしてしまいたかった。
死が、あの人を奪うくらいなら、あんなパーティーなんて出席しないまま、部屋に篭ってればよかったのだ、場違いなことをするからだと、いつも責める。
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