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「よ、宮沢」
そう目の前に映るのはクラスメイトの相田柊。
「………ぉはよ」
「相変わらず声ちぃせーのなぁ……もっとこう腹を使ってだなぁ…」
「……」
相田柊はいつもこう。私の傍からあまり離れない。
仲の良い同級生とかがくればそちらに行くこともあるけど
こうして朝のHR前とかなんかは、いつもいるのだ。
「宮沢…?」
「えっ、あ…ごめん」
気付いたらボーッとしていたみたい。
「いんや、いいんだけどよー……頼みがあるんだっ」
「……何?」
「ノート写させてくれ!」
そう、いつもこんな感じだ。
私は慣れた手つきで鞄からノートを一冊出すと、相田柊…ならぬ相田君に手渡す。
「はいこれ」
「おー!!さんきゅ宮沢!」
相田君は疾風の如くそれを受け取ると、顔を輝かせてそう言った。
濃いめの茶髪で少し幼さが残った顔が輝くのは、はた目から見てしまえばおもちゃを与えた子供のようだ。
「……」
「いやー、宮沢のおかげで今日も俺の1日は守られた!ありがとなぁ」
「…ノートくらい、ちゃんととって」
「……ごめんなさい」
分かってくれてたなら、良かったんだけど。
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