ヤンフレ

高校デビュー

「それで彼女とはどうやって出会ったんだよ？」

「どこでって……田中ちゃ～ん、俺と同じ学校じゃん。それなのに分からないの？」

「はぁ!?」

「高校デビューってやつでっせ」

田中の顔が未知の生物に遭遇したかのように驚いている。

「お前が学校でか？」

「うん。しかも同じクラス」

「えっ！　なんで！　どんな化学変化だ」

さっきまでとは比べものにならないくらい田中の食いつきがいい。

「ふふふ気になる？」

「そりゃな。毎年一週間だけモテる限定イケメンの彦一に彼女ができたとなら同じ中学の奴らなら一大ニュースだろ」

「正確には一週間と二日だって」

これが俺のモテる期間の限界と散々言われてきて三年。

告白してフラれた女は実に12人と一匹。

彼女になりたいと言ってきた女が俺と話して断念した平均時間は一時間三分。

俺はついに『彼女をゲットだぜ』したのだ。