第一章

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「えっ?」 目をパチパチさせながら困惑した表情を浮かべているがお構い無し 『それはそうと、ずっと気になってたんやけど 何をどうしたらそんな事になるんや? 頭はマシやけど、制服泥だらけやん。』 と制服を指差す 「ああ、コレな。 クラスの奴がな、泥水ってか泥?をな 俺目掛けてぶちまけよったんや。」 そう言うとハハハと笑い えげつないやろ?と言うとまた力なく笑う 『そっか、 他は何もされてへんねんな?』 「うん。されてへん。」 と言ったのを聞いてひとまず安心し 『立てるか?』 と聞きながら手を差し出す。 その手をうんと言いながら取るのを躊躇しているのがもどかしく、 私から手を取ると強引に立たせた。 「うおっ」 と言いながらも何とか立ったソイツを見て笑うと、ソイツは眉を潜めてこっちを見てくる。 『ふふっ、あんた私が来た時めっちゃびびっとったけど、 もう大丈夫そうやで良かったわ。』 そう言うとソイツは恥ずかしかったのか頬を染めフイッと顔を逸らす。 それがまた可愛らしく思える。 クスクスと笑っていると、 不意にこちらを真剣な目で見つめる。 何事かと思い首を傾げる。 「ありがとうな。あんたって本当はめっちゃええ奴なんやな。 俺ただ単に怖い奴やって誤解してたわ。 ごめんな。 こんな俺で良かったら仲ようしてや」 と、今日一番の笑顔で言った。
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