飽くまで設定

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「昨日事故に遭い、入院した山岡先生が居ない間ということで、今日からここで働かせて頂きます密です。よろしくおねがいします」 よろしくおねがい帰れ。 女子の歓声を余所に、僕は机に座り、そして脱力。 「た、建矢……?死にそうだけど」 「今日で何回か死んだ気もする」 ゆきちに適当に返し、上を向く。 そのまま後ろの席のゆきちの所まで倒れる。気を使ってくれたのか、愛用のアイマスクを鞄から取り出し、僕に装着。 もうこれがあるなら持たれなくても良いし、体を起こしてそのまま寝る体制に入る。 ちなみにゆきちのイントネーションだが、福沢諭吉先生と同じ言い方でいいと考えてくれば「で、何人か気づいているやつも居るようだが転校生が居る」『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ』 寝れないっす。 普段好印象でない担任代行の深下(フカモト)でさえ、転校生と言うとこの騒ぎだ。 入ってきてくれー。と、呼ぶと歓声も収まり、教室の扉が開いていく……と思う。 アイマスク付けてるもんで、分からない。 ちなみに密はスーツに変わっていたよ。あの服は駄目って言われたのかな。 『可愛いぃぃ「うるせー馬鹿!」』 『イケメン帰「よし密帰れ!」 『建矢ちゃん帰れー!』 「よし帰ろう」 「ちょっと待てよ!?こらこら、お前等!なんか建矢帰りたいらしいから帰らせないようにしようぜ!」 『イエエエエエエ』 男子の統一感の凄さである。 僕のシャウトから、何とか帰るまでの展開を作り上げたと思ったけど甘かった。 アイマスクを取って、立ち上がった所で隣の雄星に止められた。 女子はそんなことを気にせず、転校生である、やはり厨二の女の子に質問している。 いや、包帯と眼帯を取っている。なんだ奴は。それだけで清純に見えるぞ……! 元々素材は良い物だから、ね。 「大変だねー」 一人、もう教室に居ないんじゃないかってくらい冷静なゆきちにアイマスクを返す。 本当に大変だよ。
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