飽くまで設定

4/7
前へ
/16ページ
次へ
「雄星、放して」 「あ……あぁ、すまねえ」 一気にテンションも下がり、自分の席に戻る雄星。 まったく、僕を見くびってもらっちゃ困るよ。 普通の高校生なんだからね。健全です。 「今日の体育は運動場だそうだ。以上」 そう言って深下がそう言い残し、密と共に教室から出ていく。 蜜が扉を閉めた途端、皆が厨二っ子の方に集まる。 そういや、名前聞いてないね。 勿論僕とゆきちは後ろの方に待機。 あれだね。手際の良さ、気の合い方にゆきちの素晴らしい気遣い。 ゆきちは僕の嫁。異論は認めない。 「ちゃんとネクタイしないと……ほら」 いや、こっちがほらという感じだね。 僕のネクタイを直してくれるゆきち。ぶっちゃけ外してる奴も多いけどね。 マジメでしっかり者だから、この子。いい嫁さんになるよ。 男だけど。 「大人気だね」 「可愛いからねー……幼なじみだって?羨ましいよ」 君は本性を知らないから言えるんだ。 正直、あんな幼なじみはいらない。 そもそも幼なじみじゃない。 「建矢ヘルプー」 「まーだ言ってるよ。知らない人に名前呼ばれてもね」 「誰が知らない人!?あんなに「うるさーい!!」 変なこと言われても困るので、雄星を殴って退かし、引きずりだす。 廊下まで連れてくと、そのまま押し飛ばす。 「何のつもりなのか、答えてもらうよ。淫魔だっけ?」 「し、失礼なっ!私は……うん、嫁?」 「本当に黙ってくれないかな。いいか、放課後まで何も言わないでくれ。どこかでいくらでも話を聞いてやる。だからさ、本当に黙れ」 「…………はい」 しゅんとしたが、罪悪感はまったくない。 会って初日の奴に幼なじみだとか嫁だとか言われて不快にならないほうがおかしいよ。 朝から散々だってのに。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加