飽くまで設定

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――― 放課後。話を聞くと言ったが、そんなつもりは毛頭ない。 要するに捕まらなければ良いので、HRを終えると教室から出る。 いつもは雄星とゆきちとのんびりするけど、生憎今日の僕は違う。 今日の僕は……とりあえず凄いの! 「かえろう……建矢君?」 ごめん、普通だった。 何故か既に、靴箱の場所に居る、厨二っ子。 「クラブとかさ」 「入らない……ぐぅ!」 何でOKサインされるんですか。 自転車置き場までは逃げれそうにも無いね。 だってほぼ全速力なのに、回り込まれてるってことはどう足掻いても勝てないよ。 この子、膝に手を付いてる僕と違って息切れてないし。 「名前、聞いとこうか」 「リリスちゃん」 「チャン・スリー?中国人なんだね、君」 「どんなごり押し!?前世の名前じゃ……駄目だっ「駄目」 相も変わらず息を切らして、ロッカーの鍵を開ける。 自分の運動靴を取り出し、スリッパから履き変える。 スリッパを突っ込むと、その上の鉄格子のスペースの教科書を突っ込む。 帰って勉強なんかしないし。 「何見てんの?」 「好きです付き合ってください」 「嫌です土に還ってください」 「まーた、ツンデレなんだから」 「またしつこい返事をなんだから。失せなさい」 まだへこまずに、何だかんだ言ってくる。 それに適当な返答をしながら、校舎から出る。 「普通の名前、教えて」 「里裏 雛(サトウラ ヒナ)。里に、裏に、雛。ま、リリスちゃんで問題ない……ぐぅ!」 親指を突き立てるのが彼女の癖なのだろうか。 そんなことはどうでもよく、自転車置場に到着。 僕はポケットに入れていたキーを自分の自転車に差し込み、校舎内から乗る。 「こら滝宮ー」 「先生すみません!」 校門から急いで出る。 とりあえず逃げる為、家とは逆方向へ向かう。ここら辺は知っているし、問題ないでしょ。
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