果てなき設定

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「これが私の、魔法力」 母が台詞を放った次の瞬間だった。 持っている銃から、何かが飛び出したのが微かに見えた。 銃から飛び出したなら銃弾? 違う、『何か』がその銃弾の周りを覆っていた。 その様子を見ていると、母が舌を打った。 「…………サイキックテレポーションか。高等な技術を持っているのね」 そして、変な言葉を使った。 サイキックテレポーション?何が何だか分からない。 「……建矢。顔を洗ってきなさい。その後リビング」 元々きびきびしていて、その上圧倒的な恐さを持つ母さんだが、今日はもう半端じゃない。 そういえば昔、外国でいくつもの死線を潜り抜けてきた鬼だとかなんとか。 嘘だと思ってたけど、これを見ると本当だったのかと思ってしまう。 「…………」 廊下の、僕の部屋から出てすぐにある扉。トイレの扉に刺さったナイフを見て、頬を抓る。 どうやら、夢じゃないらしい。 僕は頭を抱え、洗面所へと足を進めた。 ――― 「何から……話せば良いんだろ。そうね、私が色んな人から怨みを買ってるのは知ってるわね?」 「はい」 「で、魔法力ってのがこの世界にあることは?」 「僕、一般人なんでちょっと頭がパーなことは」 「残念ながら、実在するのよ。勿論、貴方にもね。いや、貴方は特別と言えば良いのでしょうか」 意味深な言い方をする母さん。 僕が、特別? さっき述べた通り僕は一般ピープルなんですよ、はい。 「普通の環境で、普通に育った現代っ子なんだよ。それが特別って、どういうことさ」 「言葉の通りよ。さっきの奴等は貴方の中に封印された漆黒の竜を狙っているの」 「誰だ封印した奴コラ」 「もっと言えば八個くらい貴方は持ってるけど、聞く?」 「お断り致します」 「そう。でも、もう逃げ出す事なんて出来ないわよ。お父さんも攫われたし」 「父さんが!?」 なんてこった。いや、僕は母さんを責めることなんて出来ないのか。 話しによると、僕のせいらしいからね。
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