果てなき設定

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「……奴等が『セイナ』に気づく前に、育てましょうかね」 「セイナ?」 「こっちの話しよ。ところで、これから敵に襲われるかもしんないけど、特訓する?」 「うんにゃ、なんか実感湧かないっていうか、まだ夢見てそうな気がするんだ。今日一日考える」 「了解。じゃあ知り合いに見張っといてもらうわ。沢山居るから」 母さんみたいなのが、ってことね。 僕は頭を抱え、部屋に戻った。 ――― 7時48分、僕は家を出る。 テレビを見て、45分になればリビングから出る。 それからゆっくり外出までの作業。 庭に置いてある、もう数年前から使っている古いシルバーの自転車に鍵を差し込み、押す。 僕は一戸建ての自宅を後にすると、いつもの道を漕いで進む。 「…………ちょっと!」 「はい?」 後方から、誰かが来る。 声の主は、女の子。 思わず返事をしてしまうが、横に並んだその子は明らかに僕に話しかけている。 左目に眼帯をし、右腕に包帯を巻いた黒髪ロングの子。 もう何を言うまい。ただの厨二病だろう。 「私と……一緒に来て」 「うし、帰ろうか」 面倒だったので、足を延ばし自転車を蹴り飛ばす。 キャッ、という声と共にガシャッ、という音が聞こえる。 ちらと見て、再び前を向く。 よく見れば同じ高校の制服を着ているね。違う学年かな?知らないや。 でね、こういう厨二病にはちょっとキツいことした方がね、マトモに戻る。 何さ、朝から色々あってどんより気分の僕に話しかけるのが悪いんだよ。 そうに違いない。 「私と一緒に…………来てと、言ったのです!」 うわ、走ってきたよ。妙に速い気もするし。 アレかい?学校のクラブで黒の組織みたいなの作ったから入れってのでしょ? まったく、困るよ。 僕は速度を上げ、突き放そうとする。 「人の話しくらい……聞いてください。相棒なんですから!」 「訳分かんないよこの子!」 またいつの間にか横並びになってるし! クッソ、こんなの本気で関わりたくないよ。
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