果てなき設定

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「我が兄よ……あのような淫魔の言葉に耳を貸すな!」 「死ねっ!もうお前等死ねっ!完全にグルだろこれ!」 もうすぐ学校。残りは直線。 歩道は学生が居るので、車道をガンガン走る。 って言ってもこの道は車はあまり走らないし、そこは気にすることなく、同じチャリ通学の人達を避けながら校門へ急ぐ。 「危ないから……止まれっ!」 いつの間にか前方に居た厨二男。 校門の前で、僕のチャリのカゴを靴の裏で蹴る。 急いでブレーキも踏んだし、衝撃は大丈夫。 「今日からこの学校に赴任する教師の蜜 氏得(ミツ シエル)だ。よろしくな、兄者」 誰か僕の聴覚と視覚を機能停止にしてくれないかな。 もう、嫌だこの世界。 ――― 「ヘイ、建矢!おはようさんさん……です」 「朝っぱらから君の変なテンションに付き合ってられるか」 「ならこっちのテンションはどうよ。建矢……おはようさんさん!!」 「お前は失せろ」 「なんっすかその扱いィ!?」 教室に入り、二列目の後ろから二番目の自席に着こうとすると、ウザい二人が絡んでくる。 最初の方は雪道 幹人(ユキミチ ミキト)。あだ名はゆきちで、テンションの低さと無理して上げている感に定評がある、眼鏡系普通男子のクラスメイトだ。 後者は伏木 雄星(フシキ ユウセイ)っていう変人。 口癖が『~っすかぁ!?』で毎日頭が愉快な、これも比較的普通男子のクラスメイト。 ただ、野球部で髪も短めで、無駄に爽やかなのでモテるっちゃあモテる。 別れる原因がウザいから、でフラれる男の子。 彼等は僕の悪友であり、この馬鹿なやり取りで少し安心する自分も居る。 悔しいが、厨二病を発症している奴達の相手よりは心躍る。
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