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―――
「重いんだけどー」
「我慢しなさい。こっちも重いの」
階段を上り、四階。
この階にはクラスの教室はない。美術室に図書室によく分かんない準備室とか。
図書室まで足を運ぶも、先生は居ない。
どうやらメガネ委員長は場所を知っているようで、きびきびと僕に命令を出す。
「ところで、滝宮君」
「はい」
「―――ワタシノミギウデ、カエシテクレナイ?」
「……はいはい、先に本ね。ほら、慌てない!」
僕は本棚に本を直していて、委員長は。机の側で待機。
していたのだが、自分の右腕が欲しいらしく走ってくる。
いやさ、貴方の右腕はあるべき場所についてるから。
「うおぉっ!?」
どこから取り出したのか、ナイフで僕を突こうとする。
「委員長さん!?」
飛びのき、後ずさり。
部屋の後ろの扉の鍵は閉まっているので、前から逃げるしかない。
今現在は委員長さんが奥に、僕が扉に近い形になっているが、一体彼女はどうしたのだろうか。
あの馬鹿二人みたいに、ただ単に厨二病を発症した訳じゃないだろうし。
「トール、って聞いたことあるかしら」
「名前はね」
雷神みたいな感じのやつじゃなかったかな。
「……ハールバルズ、腕を返してもらう!」
「なになになにぃ!?」
何ですかこの女の子!?もっと落ち着いてると思ったんだけど……。
彼女から逃げようとすると、回り込まれる。
クッ、仕方ない。
とりあえずハールバルズを調べよう。
こんな時になんだって感じだが、母さんが言ってた僕の体の秘密に関わるかもしれないしね。
迅速に情報まで辿り着けて、なんちゃらフォンとかに変えてなくてよかった、と携帯を握りしめて思う。
「なになに……なんと、僕がオーディンさん!?」
「気づいてないとでも?フェンリルに牙を借りてこのナイフを創ったの……死に損ないに止め刺してこいってさ…………私はその、私の右腕を返してもらえばいいんだけどね!」
わけわかめす!
携帯を閉じ、胸ポケットにしまうと再び彼女のナイフを避ける。
悪いが、ここは大人しくしてもらおう。
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