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タイミングを合わせ、タップダンスでもするかのように僕は床を這いつくばる子蜘蛛を踏みまくる。
「ッ! おい、子蜘蛛なら武器が無くても……!」
「おい、この蜘蛛弱ェぞ!!」
僕の行動に気が付いてか、他の者たちが子蜘蛛を踏んでいく。
「おぉ相棒、まだ生きてっかー」
「なっ……お前!」
さきほど僕を見捨てて逃げた赤髪がこちらにやって来た。
その手には青い鎌がある。
僕の方に向かってきていた子蜘蛛を一掃してくれたのか、鎌の刃が蜘蛛の体液で汚れていた。
「助かったぜー、相棒が子蜘蛛殺す方法を実践してくれたおかげで手間が省けた。
見ろよ、確実な対処法を見つけたから他の奴らの士気が上がったぜ?」
確かに僕の真似をして蜘蛛を踏み潰す者が周囲にたくさんいた。
さきほどまでの悲鳴が今は蜘蛛を倒す気合の雄叫びに変わっていた。
「……何の用だ?」
「あれ? 先に武器の出し方とか聞かないわけ?」
「お前は信用できない」
赤髪の男は先ほどと変わらない胡散臭い笑みを浮かべたままだ。
「俺はそうハッキリと物の言える相棒が信用できるぜ?」
「相棒言うな。
いったい僕に何の用かと聞いてるんだ」
「その腕輪、手を上に向けた状態で時計回りに回すとなんか反応すんぞ。
そんだけ。じゃあなー」
「……え?」
赤髪の男は本当にそれだけを言ってその場から去って行った。
その場に残された僕はどうするか迷いつつ、言われたことを試してみる。
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