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「手を上に向けた状態で、時計回り……」
――ガチンッ
確かに腕輪が動き、そんな機械的な音が聞こえて来た。
そして、突如腕輪から光が発せられたかと思えば、パソコンの画面に出てくるようなウィンドウが出てきた。
「なんだこれ……?
パ、パスワードぉ?」
“パスワードを入力して下さい”とそのディスプレイには表示されていた。
よく見たら腕輪にはマイクらしきものがある。
「え、えっと……0、0、0、0……とか?」
初期設定ならまずこれだろうと思ってマイクで音声入力してみた。
ウィンドウには0000と表示されたが、すぐにそれが違うと示す赤いerrorの文字が表示された。
「えぇ、他に何があるんだよ……?」
そもそも僕には過去の記憶がない。パスワードらしきものなんて知るはずがないのだ。
……じゃあ、一体他の奴らはどうやって?
「おい、そっち危ないぞ!」
「ッ!」
腕輪に夢中になっていた僕はその声ですぐに我に帰った。
こちらに向かって親蜘蛛が接近していたのだ。
「クソッ!」
すぐに横に向かって僕は走り出す。
コイツは基本突進するだけだからこれで……
――グオオォォオォォオォォォ!!
安心していた次の瞬間、蜘蛛の腹が揺れた。
そしてあろうことか、僕の真横を通り過ぎた瞬間に僕の足に向けて尻から糸を飛ばしてきた。
「は? あ――ッ!!」
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