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「イタイ、痛い!」
「ヒッ、あ!」
僕と同じ、二段構えの糸で捕まった者たちが床に引き摺られながら悲鳴をあげている。
「くっぐっ!」
僕は急いで先ほどのウィンドウを起動させた。
――パスワード、パスワード、パスワード?
なんだ、なんだパスワードって? 僕の知っている奴なのか?
このままではすぐに僕はあの蜘蛛に食われる。そうなる前に武器を解放しないと……!
「……?」
ふと、ウィンドウの下に新たに文字が出て来ていた。
《ヒント:五・七・五》
五・七・五……?
咄嗟に思い浮かんだのは俳句だった。もしくは川柳ということもあるだろうが、なぜかこの答えは俳句だと僕は確信が持てた。
蜘蛛が次々と、子蜘蛛を殺した相手を狙って、殺し、僕と同じように捕まえていく。このままでは、僕が子蜘蛛を殺すことを考えたせいでたくさんの人が……!
「じょう、だんっ、じゃっ……ないッ!!」
僕は体に力を込め、粘着質な蜘蛛の糸を掴んでどうにかその場から立ち上がる。まるで水上スキーをしているかのようで、足元の靴から水飛沫の代わりに火花が散る。
「僕のせいで、誰かを死なせて堪るかぁぁぁ!」
腕輪のマイクを口に近付け、頭に浮かんだ俳句を音声入力する。
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