メモリアル ロスト

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――確か 「夏草や」 ――僕、何故かこの俳句が好きだった。 「兵どもが」 ――他にもいろいろ俳句はあるけど、これが一番好きだった。 ――だから、記憶がなくなってもちゃんと覚えてる。 「夢の跡」 ウィンドウに“パスワード認証”という文字が見え、僕の腕輪が光を放った。 左手に確かな感触を覚え、僕はそれを振るう。 ――ピッ 微かな手応えだけで、僕の足に付着していた糸が呆気なく切れた。 「くっ、あっ、がっ!!」 僕はバランスを崩して床の上をゴロゴロと転がりまわる。 ――グオォォォォォォォオッ! 僕が逃げたことを感じたのか、蜘蛛が足を止めて僕に標的を絞ってくる。 「あ……クッ……!」 痛みを我慢して立ち上がり、僕は左手にある紫色の光沢を放つソレを握り締める。 「ふぅぅぅ……来いッ!!」 蜘蛛に向かって僕は叫び、それに呼応するように蜘蛛は突進してくる。 ――グオォォォォォォオォ! 雄叫びと共にこちらに迫る蜘蛛 その迫力に気圧されそうになりながらも、僕は狙いを絞る。
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