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全力の突進を終え、僕はその勢いをいなし切れずにそのまま転んで床を転げまわった。
「はぁ、はぁはぁ、はぁ!」
立ち上がることも忘れ、その場で寝転がったまま肩で呼吸する。
そして、視線だけを動かして僕はようやく左手にある得物が何なのかを知る。
槍
紫色で、電撃を放つ槍
形状は、かつて農民が国に反旗を翻す際に用いられたといわれるパルチザンというものに良く似ていた。
「こ、これが……?」
僕の武器?
唖然としたまま、僕はようやくその場から上体を起こす。
――グオォォォォオォ……
「ッ!?」
背後からまだ蜘蛛の声が聞こえた。
そうだ、まだこいつを仕留めていない。
そう思って振り返った僕だったが、そこまで焦る必要は無かった。
蜘蛛は左足をすべて失っていて、バランスを取れずにその場でもがいているだけだったのだ。
まだ生きていて捕まった者たちは、他の武器を持つ者の手によって助けられているのが見えた。
「…………ふぅ……よかった」
安堵しつつ、槍を杖替わりにして立ち上がる。
「よぉ相棒! 今のかっこよかったぜ!」
再び現れた赤い髪に青い鎌というミスマッチな組み合わせの男がやってくる。
「何の用だ?」
「おいおい、つれねぇ態度取るなよ?
武器の解放の仕方を教えてやったんだからさぁ、もっとフレンドリーにな、な?」
「確かにそれは感謝するが、だからと言ってフレンドリーになるのとでは話が違う」
男の事をそのまま無視して、僕は再び蜘蛛の方へと足を運ぶ。
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