エクストラ ステージ ■

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◆ 川合が叶野と向き合っている間に、突如として室内のモニターが落ちた。 「は?」 驚きの声を上げたのは樋山だ。 そして画面はそのまま数字の羅列だけを映し、その後には「error」の文字ばかりが出現する。 「お、おいおいおいおい……まさかそんな、嘘だろ……!」 絶望的な表情になりながら、樋山がキーボードを叩く。 「ど、どうしたんですか?」 状況を飲み込み切れていない川合が訊ねるが、樋山は聞く耳持たずでキーボードを叩く。 「スーパーコンピュータだぞ? 最新鋭の、最新技術搭載で、開発だけで兆は行くんだぞ! それが、たかだか二つのプログラムの実行でフリーズ!? ありえないだろ、いくらなんでも、こんなのありえない!!」 ヒステリックに叫ぶ樋山。 それを聞いて、叶野は呆然としていたが、すぐに我に返る。 そしてすぐに機材で横になっている学生の元に近づく。 機材の方の機能は緊急停止している様子だ。 「おい、おい君! しっかりしろ!」 頭を不用意に揺らさないように肩を軽く叩きながら、大きな声をかける。 「……う、ぁ…………っ」 短いうめき声を共に、学生はゆっくりと目を開く。 「大丈夫か? この指、何本に見える?」 叶野は学生の前に、自分の指を三本立てて見せた。 「三本……?」 「視覚に問題はないのか……? それじゃ君、自分の名前は言えるか?」 「…………剣士」 「は?」 「え?」 学生の呟きに、叶野と川合は驚きの声を漏らす。 樋山はフリーズしたパソコンの復旧で気がついていない。 「…………っ……ち、違う、俺は剣士じゃなくて…………お、俺は……」 学生はそのままその場で頭を抱えながらぶつぶつと呟き続ける。 「俺は剣士じゃない、剣士はあっちの俺…………なんで俺はそれを知ってる? 知らない、あれは俺じゃないのに、なんで俺は覚えてるんだ?」 「き、君……大丈夫か?」 学生に再び声を掛ける叶野。 「――お、おおぉ!」 その時、突如樋山が声を上げた。 「教授! ラッキーですよ! 偶然ですが、旨い具合に芭蕉のデータだけが損傷してる! しかも他のアバターは厳重に保存されているからほとんど無事です!」
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