2人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
アドレス帳を隅々まで見ていく。誰か頼れる人はいないかと探していると、一人の名前が目に留まった。
山鹿葉子。俺の唯一の女友達。あの子ならちゃんと説明を聞いてくれるはずだ。早速電話をかけてみる。朝早いけど起きているだろうか。
コール音が何回か鳴った後、
『もしもし伊原君?』
「や、山鹿、朝早くから悪い。時間あるか?」
『うん、平気だけど』
「今から家に来てくれないか?相談したいことがあるんだ」
『え、ええ?…うん、分かった。すぐに行くから待ってて』
少し戸惑ったみたいだけど、俺の必死な声を感じ取ってくれたみたいだ。山鹿の家は近いからすぐ来てくれるよな。電話が切れると、一気に安堵感が胸を満たす。
「電話?誰?」
「ああ、山鹿に助けを頼んだんだ」
………………………え?
「おはよう」
「おわあ!?」
女の子が起き上がっていた。布団にくるまって座っているから大丈夫だが、それはそれでなんか目を向けられない。
「えっと、その山鹿さんって人なら助けてくれるんだよね?」
「あ、ああ…。てか今の状況わかってるのか…」
「うん。別に私はあなたに連れ込まれた訳でもないし、何もされてないよ」
「良かった…。なんかすげー安心した…」
とりあえず俺は捕まらずに済むみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!