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数時間後。デパートから出て、山鹿と祐菜ちゃんの後ろを歩く俺は財布が軽くなったことをとにかく嘆いていた。最初の内は楽しかったが、二着目、三着目となるとだんだん財布の中身を気にするようになってしまっていた。俺って…小さい男だろうか。
そんな俺はともかく、祐菜ちゃんは大満足のようだ。
「服選んでくれてありがとー!葉子優しいね」
「私も自分じゃあんまり着れないのとか選ぶの楽しかったよ。祐菜ちゃん可愛いからなんでも似合うよね」
「へへ…そうかな」
前の方では山鹿と祐菜ちゃんが楽しそうに話している。二人が楽しめたみたいだから良しとするか。
「次はどこ行くの?」
「そうだねぇ…」
さっき楽しんでたから良しとか言ったけど、まだ行くんだ、と内心思ってしまう。財布の中身的には買い物はおろかゲーセンすら危ない。
山鹿は俺をチラリと横目で見てくる。俺はジェスチャーで財布が空に近いことを伝えた。
「えっと、じゃあ伊原君の家に帰りながらこの辺りをぶらつこうか」
「うん、わかった!」
ジェスチャーが通じた!山鹿の勘の鋭さすげえっ!!ありがとう山鹿、お前がいて良かったよ。
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