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「っていうか姫乃まで急ぐ必要ないぞ?」
妹を引き剥がしながらも早歩きで急ぐ。
「私から兄さんとったら何が残るというのですか!」
「いや知らんよ!」
「何も残らないんですよ!」
「そうなんだ!?」
毎度毎度、過度な表現をしてくる姫乃は、まぁ兄である俺に結構懐いている。
いや懐いているという範囲を超えていると友人にも指摘されたが、取り敢えず懐いているのである。
このブラコンを発揮し始めた始まりは、多分俺が中1の時だろう。
姫乃は元々、俺の妹じゃない。その中1の時に親が養子として受け入れたのだ。
彼女は当時両親を交通事故で亡くし、奇跡の生還者の一人だった。
俺は初めて出来た妹という存在、その境遇のせいもあって可愛がりまくった。そりゃもう猛烈に。
結果、こうなった。もう少し早く気づくべきだった。
こうして日常を営んでいる間にも姫乃の依存心は強くなっていく。
どうにかしなきゃと思う反面、なんの考えも浮かばないのが現状である。
視界隅の時計が、また一つ数を増やす。
取り敢えず、今は学校へ向かおう。それだけを考えよう。
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