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兄さんの足音が近づく。それだけで私の鼓動は早くなる。
さぁ兄さん! どんな甘い言葉をかけてくれるんですか!
「あ、すまん。今日朝食いらないから」
その時の私は、とても絶望した顔だったと思う。
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「どどどどどどういうことですか!」
「いや落ち着け、何があった」
私の動揺っぷりに押され気味な兄さんがおいおい、と狼狽える。
「私の料理に飽きたからって他の女のところでいちゃいちゃ食べるってどういうことですか!」
「いやそんなこと言ってないよ!?」
私にはそう聞こえたんです。兄さんが私の料理をいらないってそういう事しか有り得ないんです。
「今日委員会で呼び出されてるから。早く行かないと遅刻で怒られるから!」
「じゃあ昨日のうちに言ってください!」
「言ったよ!? 姫乃が聞いてなかったから3回くらい言ったよ!?」
そうだ、昨日は兄さんのシャツをどう回収するかで一日中考えていたんだった。
「だったら私が聞くまで熱い言葉をかけ続けてください!」
「1回で聞けよ!」
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