紋白蝶

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叶えられない「ゆめ」なんて無い 大切じゃない「もの」なんて無い   そんな風に考えたのが昔の事のよう 貴方を忘れることが出来なくて 思っては募っていく紅い酸漿(ほおずき)のように   誰かいないの?答えて 苦しいのは何で? 貴方の返事を暗闇の底で待っているの   誰でもいいから来て 辛いのは私が独りだと思い続けていたから   どうして?ねぇどうして私だけこんなに苦しむの? 手を指しのべてくれるだけで私は救われるのに… 教えて?ねぇ教えて…いつかは私も幸せに なれる日が来るんだよね?私は泣かないで待つわ   I melt in the little white.   自分が嘆かわしいと思いだしたのは 少しずつ記憶を失っていくから 浮かんでは消えていく泡沫(うたかた)のように   誰か来るまでずっと 嘆きの唄を歌うわ 貴方の返事を暗闇の底で待っているの   誰でもいいから来て 一枚ずつ爪を剥がした痛みをずっと忘れない   ただ抜け出したくて… 張り巡らされた糸の罠から抜け出したくて 羽根がもげてもただ逃げようと必死で   こんな辛いならこのまま食べられちゃうのもね…   「ねぇ、聞いて?私…明日埋められちゃうんだぁ…布に巻かれてね…」
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