雨の日

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何かある日は、いつも雨だった。 遠足、運動会、部活の試合、誕生日。 いつだって、雨だった。 1人、カフェでラテを飲みながら彼を待つ。 店内にある掛け時計は14時を指していた。 自動ドアが開いて、入ってきた客が辺りを見回す。 観葉植物が陰になってあたしが見えないかもしれない。 椅子から少し乗り出し、上半身をドアに向けると、くしゃっと笑って彼が駆け寄ってきた。 「待った?」 「ううん、今来たところ」 少し肩が濡れた彼は、それを手で払って注文に向かう。 ラテをもう一口飲み込み、窓の外を見上げた。 どんよりと曇った空。 ザーッという声を上げて、泣いている。
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