メランコリー・スターチス

雨の日

あたしと彼、雄大は付き合ってもうすぐ2年になる。
同じサークルの仲間で、雄大が大学の近くで一人暮らしをしていたから、いつも一緒にいた。

「雨すげー降ってんね」

コーヒーをテーブルに置いて、彼はようやく上着を脱いで人心地着いた様子だった。
椅子を引く瞬間、がたっとテーブルも揺れる。

「わり」
「大丈夫」

揺れるコーヒーをじっと見つめた。
零れそうで零れない、

…そんなに我慢するのなら、いっそ零れてしまえばいいのに。

雄大は何か世間話を始めたけど、あたしは適当に相槌を打つだけで、全く頭に入っていなかった。

…ねぇ、雄大

いつも一緒にいたのに、雄大の家で会えばいいのに、どうして今日は待ち合わせがカフェなんだ、って、不思議に思わないの？

どうして私が、いつもしない眼鏡でいるか、不思議に思わないの？