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♪♪♪
不意に雄大の携帯が鳴った。
ぴたりと止まる雄大の唇。
目が泳いだ。右、左、
鳴り止まない携帯。
着信はしばらく続き、中途半端なメロディーをあたしの耳に残して切れた。
誰から?何で出ないの?
そんなの、聞かなくたって、わかってる。
「…かけ直せば?」
「…いーよ、別に」
「雄大、あのさ…」
「奈央」
名前を呼ばれ、制止された。
雄大は、あたしに気づかれないように小さな小さなため息をついた。
…ねぇ、雄大、あたし知ってるんだよ?
あなたが、あの子のこと目で追ってたことを。
最近よくサークルに顔を出すあの子の髪をくしゃっと撫でて、愛しそうに微笑んでいたことを。
ねぇ、
あたしがこれを口にしたら、あなたはきっと困った顔をするんでしょう?
あたし、知ってるんだよ。
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