☆第一章 運命の出会い…青龍の君

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     「姫様、朱夏(しゅか)様~。どちらにいらっしゃいますか!?」  琉南国(るなんこく…七宝玉の一つ、瑠璃に例えた、美しい南の国の意味)の白亜の宮廷の中。  四季折々の様々な植物が、絶える事無く見事に美しい花を開かせている庭園に、慌しく人を探して駆け回る侍女の声が響いている。  彼女の名前は、百葉(ももは)。年は十代の少女の様に見受けられる。先代の侍女夕凪(ゆうなぎ)の娘で、今、彼女が探している王女の朱夏とは、乳姉妹の間柄である。  「百葉、朱夏は朱雀の祠に居るのではないのか…。」  「あっ…これは南天帝(なんてんてい)様…。」  南天帝ー王女朱夏の父で、琉南国の王。  叡智と才覚に長け、外見通りの温厚な性格と人柄で、国の民から慕われ、内政は繁栄を極め、長く平和な日々が続いていた。
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