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僕とこの相棒――この言い方は芳しくないが友人でもないし知人でもないし人でもないので今はそういっておくことにする――が出会ったのは、なんて出会いの場面をつらつら語っても仕方がない。
とにかく、そいつは今ここにいる。
世間では凄い言われようで、やれ妖怪の総大将だ鬼太郎のライバルだ孫がいるだなどと言われている訳であるが、今僕と一緒にいるこいつはただの頭が長い変な何かである。
皆さんご存知、ぬらりひょんということになる。
どうやら彼は僕が感得したことによって形を成したらしく、そのせいか威厳というものを持ち合わせていない。
それどころか、自分は偉くないだの、勝手なイメージを抱くのは止めてくれだのと言ってくる。
終いにはこうなったのも全て僕のせいだ――と宣うのである。
彼曰く、僕が中途半端にぬらりひょんのことを知っていたせいで世間で流布しているイメージで顕れることが出来ず、結局自信というものがすっぽりと抜け落ちてぽんと湧いて出てしまった――らしい。
なるほど、僕はぬらりひょんのことを知っていたのか。などと過去の自分に思いを馳せてみる。
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