7人が本棚に入れています
本棚に追加
そこでぬらりひょんと色々と話をしていたのだが、お互い話すことも尽きてしまった。といっても僕が話せることなど殆どないので、ぬらりひょんが一方的に愚痴をこぼしていただけなのであるが。
僕は制服を着ていた。落ち着いた黒のブレザーで、大きく着崩すこともなく、かといって徹底的に型にはまっている訳でもない。
どうやら僕はこの学校の生徒らしい。これは大きな進歩と言える。生徒ならば必ず名前がある。調べる方法はいくらでもある。
では少し校内を見ておこうかなどと思い、机の上から腰を上げようと――僕は机の上に座っていた――すると、教室の前のドアが開いた。
僕はその時自分の顔がどうなっているのかということを失念し、そちらに顔を向けてしまった。
制服を着た、二人の女生徒がこちらを見ている。
一人はすらりと背が高い。大きな瞳と綺麗な眉。髪は首の辺りまで伸ばし、少し茶色が入っている。
もう一人は隣と比べると背が低いが、全体で見れば平均くらいだろう。思い切りあどけなさの残る顔だが、真っ黒な髪の毛は大人っぽく少しウェーブをかけながら腰の辺りまで伸びている。
最初のコメントを投稿しよう!