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「先輩……?」
背の低い方の子が僕の顔を見てぽかんと口を開け、隣の子が目をぱちぱちさせながら呟く。
「先輩が――のっぺらぼうになってる! どうしよういっちゃん!」
背の低い子が漸く開いたままの口を閉じてそう言って慌て出す。
「あたしが知るか! でもまああの顔をもう見なくて済むと思えば、こっちの方がいいんじゃないか?」
「あ、確かにそうかも」
「ちょっと君達」
君達?――と二人揃って首を傾げながらこちらを向く。
「済まないけど、僕のことを知っているんだよね。僕が誰かを教えてくれないかな?」
「な、何言ってんだこいつ――」
いっちゃんと呼ばれていた子が冷めた目で僕を見る。これが俗に言うドン引きという奴だろう。
「あ、そうか。のっぺらぼうだから自分のことがわからなくなってるんだよ。そういう小説読んだことあるもん」
「おお、流石にーこ。ってちょっと待て。それってあたしのことも覚えてないってことか?」
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