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「入学してすぐに、私といっちゃんがこの空き教室に入ると先輩がいたんです。それでなんやかんやでよく三人で話すようになって。と言っても会うのは決まって放課後で、それ以外の時間に先輩を見たことはないんですけど」
「じゃあ、暫く待とう。それで長期間無断欠席している生徒がいたら教えてくれないかな。それが僕かもしれないから」
「候補が多すぎます」
にーこが先程と同じようにばっさりと斬り捨てる。
「どういう意味だい?」
「まずこの真怪(しんかい)高校は、総生徒数三千人を超すマンモス校です。そして私達が入学して以降、断続的に生徒の行方不明事件が起きています」
「へえ、なかなか物騒だね」
などと呑気に言うのも、僕がもう万策尽きてしまったことを察したからだった。
「じゃあ仕方ないなあ。まあ困ることはあるけれど、自然に治るまで放っておくしかないみたいだし。いっちゃんとにーこだったね。忘れてしまったけれど今まで通りに接してくれていいから。それから、こっちはぬらりひょんだ」
僕の座っていた机の横にずっと立っていたぬらりひょんをここで漸く紹介する。二人は揃ってそちらを見るが、何も見えていないようだった。
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