弐.「遠き山に日は落ちて」

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「あの…… 薙刀の危ない方が向いてる気がするんですが」 「気のせいよ」 私って味方でしたよね? 「ヒッ!?…… 雫後ろ後ろ!!」 突然雫さんの後ろに黒い影が浮かびます。 余りの恐怖に雫さん呼び捨てしてしまい、尚且つ腰が抜けてしまいました。 実は怪談話とか怖い話ダメなんです。 もうお化けとか涙物です。 「お喋りが過ぎた… かなッ!?」 少し溜め息をついた後、2m以上ある薙刀を思い切り、後ろに向け横に薙払います。 「おっと。怖い怖い綏聖院の御巫(ミカンナギ)は気が短こうて」 雫さんの一撃を軽々と避け、嘲笑う妖怪。 この世の物とは思えない喉の潰れた様な嗄れ声に、私は一瞬気を失いかけます。 「こっち」 「うわっ!? 空飛んでる!?!?」 突然、体がフワリと浮き上がり、魂が消し飛ぶほど驚きます。 在原さんでした。 いやーもう死を覚悟しましたよ。正直。 「あ、あ、在原さん、あ、あ、あ、あの、あの妖怪は?」 完全に、気が動転していますが、一応妖怪の種類を聞いてみます。 「爆弾魔。 人間じゃない。妖怪」 確かに爆弾魔と言えばテロリスト等イメージを受けます。 実際テロリストと戦ってましたし。 「よ、妖怪にもいるんですか?」 「いる。テロリストの魂とか爆弾で死んだ人の魂。具現化したら妖怪の爆弾魔になる」
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