これが俺のX'mas

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長くて寒い冬が訪れた。 深い雪に被われ、白一色に染められたこの世界人々は、暖かい暖炉の前で、センスのいい家具に囲まれながらゆったりと過ごす。 だが、俺の村にはそんな過ごし方をしている者はいない。 何故なら一番忙しい時期だからだ。 世界中の子供たちから寄せられたリストにそって工場はフル稼働だし、作れないものは取り寄せたりしなければならないのだ。 自由な時間はほとんどない。 寝れる時間さえ厳しい過酷な労働。 それが俺たちサンタクロースの仕事だ。 そんな俺たちの報酬は、国から出る援助金と、子供たちの笑顔なわけだけど…… なあ、今の時代ってサンタクロースって必要か? 俺のご先祖様たちの時代はさ、貧しい家庭がたくさんあったからサンタクロースは必要だと思うよ。 でもさあ、今は恵まれた家庭も多いし、更に俺が一番訴えたいことはさ、今の子供はサンタクロースの存在なんて信じてないじゃん。 親がプレゼントしてるとかってに思い込みやがってさ、わざと高いものお願いしてみたり、信じたフリして『純粋な子供』を演じて可愛いげの欠片もない。
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