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そんな子供のどこにサンタクロースの必要性があるんだ。
そんな不満を抱いていてもやらなきゃならない。
何故なら、
「おい!アレック、なに油を売ってんだ!時間がないんだぞ!!」
と、あちらこちらで俺を見つけては、村人たちに怒られるからだ。
「分かってるよ!今行く!」
さて、仕方ない。行ってくるか。
俺はみんなの待つ工場へと渋々足を向けた。
因みに工場は寒い。
室内には小さい暖炉があるだけだから、暖かいわけがない。
それでも人がたくさんいる時間帯は、人の熱気で氷点下にならないだけマシだ。
真夜中は、自宅で作業をするものがほとんどで、工場を使うのは自宅に作業室が与えられない俺のような若いやつらだけになる。
だからこうして逃げていても泣くことになるのは目に見えているので、やるしかないのだ。
全く最初に暖炉の靴下に金貨をいれて貧しい家の娘さんを助けたというおっちゃんに文句のひとつでも言ってやりたい!
そんなある日、そんな不満だらけの俺を危ぶんだのか、長老が俺の家に訪ねてきた。
「アレック。お前さんはこの仕事が嫌いなのかい?」
昔は綺麗なプラチナブロンドだったらしい白くて長い髭を撫でながら、長老はそう聞いてきた。
嫌い?いや、決して仕事そのものが嫌いな訳じゃない。
ただ、今時代の子供が嫌いなだけだ。
俺がそう答えると、長老は俺にとっておきの仕事を与えようと言って笑った。
とっておきの?一体なんだろうか?
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