これが俺のX'mas

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「私の目が見えていた頃にアラスカでオーロラを見に行ったの。そのときパパとママがオーロラを見ながら笑っていたの。 だからオーロラを見たらきっとパパもママもケンカしなくなると思うの。また前みたいに楽しそうに笑ってくれるはず! ねえ、お願い!私、二度とワガママ言わないから。プレゼントもお願いするのはこれで終わりにするから! いい子になるからお願い!オーロラを見せて!」 ……俺はバカだ。 この子は両親が仲良く笑ってくれる姿を見る為に大人にならざるを得なかったんだ。 裕福な家庭ならなんでも欲しいものが手に入る? とんでもない。この子は子供なら誰しも当然与えられるべき暖かい家庭がない。 そうなったのは自分のせいなのだと、小さい胸を痛めて来たのだ。 だが、オーロラを見せただけでは恐らく両親が昔のように仲良くなるわけがない。 もう一押し何かを与えなければ。 だが、一人の人間にプレゼントを与えるのは一個までと決まっている。 複数のプレゼントを与えた場合は、そのサンタクロース自身、相応の代償を払わなければならないのだ。 ……仕方ない。もう一つプレゼントするしかない。 代償は確かに痛いが、このままでは彼女が幸福になれない。 それこそサンタクロースの存在は無意味なものになる。 俺は覚悟を決めると、彼女の目の位置にしゃがみこんだ。 「一つ聞いていいかい?君はサンタクロースを本当に信じているのかい?」 少女は迷いなく頷いた。 「サンタさんじゃなければオジサンは誰なの?」 オジサン……地味に傷付く…… 「では今夜が最後の私からのプレゼントになるが、構わないのかい?」 「それでパパとママが笑ってくれるなら!」 再び少女は迷いなく頷き、答えた。 俺はそれに頷くと、少女の額にキスを落とした。 「よかろう。今から10分後に外に出てごらん。オーロラが出ているからね」 それを聞いた少女は嬉しそうに笑うと、両親に報告しようと部屋を飛び出そうとしたので慌てて止めた。 「待ちなさい。これからも良い子でいるという事を条件にもう一つ私からのプレゼントを贈ろう。 外にご両親を連れてこれたら、君は私に聞こえる位大きな声で『メリークリスマス』と叫ぶんだよ。いいね」 俺がそう言い聞かせるように言うと、少女は首を傾げながらも頷いて今度こそ部屋を出ていった。
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