これが俺のX'mas

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俺は彼女を見送ったあと、急いでソリに戻ると、空高く駆けていった。 オーロラをより美しく見せるには、より高く上がる必要がある。 俺は可能な限り上昇し、オーロラ粉が均等に輝くように周囲に巻いた。 「お、上手く両親を連れ出せたようだな」 遥か下の地上では、少女が両親の手を引いて、空がよく見える場所へと向かっていた。 「ベル!いったいどこへ行こうというの!?」 母親の声に重なるように、父親も少女に走るのを止めるように言った。 「ベル!走ったら危ないから、そんなに急がないでくれ」 良いご両親だ。本当に娘の事が心配で仕方がないらしい。 悲痛な叫び声が、俺の頭の中にサイレンのように響いている。 「さあ、もう大丈夫だベル。メリークリスマスと声高らかに言うんだ」 俺の声が届いたのだろうか? 彼女は白い息を吐きながら笑みを浮かべて叫んだ。 「メリークリスマス!!」 少女の声に応えるように、オーロラ粉は光を放ち、空に光のカーテンを作り上げた。 「うわぁ。本当にオーロラだ! パパ!ママ!見て!オーロラだよ!サンタさんがオーロラをプレゼントしてくれたんだよ!」 少女がそう嬉しそうに言うのを見て、両親はオーロラより彼女を信じられない様子で見ていた。 「パパ、ママ!早く見ないと消えちゃうよ! ほら、スッゴクキレイだよ。 あ、あそこ!ピンク色になってるよ!アラスカと同じオーロラだよ!」 少女はオーロラに指を指しながら早く見ろと促すが、両親はオーロラを見ようとせず、母親は口元に両手を当てながら涙を浮かべ、父親は少女を抱き締めた。 「パパ?ママ?どうしたの?なんで泣いてるの?オーロラだよ。ねえ、笑ってよ」 父親は娘を抱いている腕を強めながら首を振った。 「笑ってるよ。パパもママも嬉しいから泣いているんだよ」 「ああ、主よ。ありがとうございます……!」 母親はオーロラに向かって十字を切ると、手を胸の前で組み、祈りを捧げた。 「ママ。違うよ。サンタさんだよ」 少女がそう指摘すると、母親は「そうね」と震えながら答えると、父親に重なるように少女を抱き締めた。 少女が苦しそうにもがいているが、その表情が幸せに満ちているのを見て、俺は安心して村に戻るべくソリを走らせた。 少女の「サンタさん。ありがとう」と言う心の声を受け取って。
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