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静かな夜。
その日は満月だった。
村はずれの祠の前に一人の少女がすわっていた。
少女の顔にはまだ幼さがうかがえる。
流れるような美しい黒髪に月の光に反射した白い肌、長いまつげ。
村の婚礼衣装のような白い着物を着ている。
どこかの城の姫君のような豪華さは、ない。
しかし、控えめで小さくかわいらしいカスミソウの白い花のような子であった。
そこに一人の若者がやってきた。
背が高く切れ長の涼しげな眼元が印象的だ。
妖艶な雰囲気を持ち合わせている。
どんな女でも一目この男と目が合おうものならきっと頬を赤く染めてしまうだろう。
彼は祠の前の少女に気付いた。
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