第一章

2/2
前へ
/7ページ
次へ
時は2890年12月。 純白な雪が降りしきるなか、1人の少年は見知らぬ廃工場の前に立っていた。 背丈は170cm前後、薄めの栗色をした髪は若干 ウェーブが掛かっていて、長さは肩口まであるかないか程度。 長くはないところをみると、生まれつきのくせっ毛だろう。 見たところの齢は二十歳前後といったところだ。 そして、少しばかり距離はあるが、少年に背を向けるような形で正面に存在している少女。 手には 真っ赤な血液で染められたダガーナイフ。 足元には 大量の血液で出来た血溜まりのなかに横たわる、3つの死体。 死因は 刃物による刺傷や切傷からの多量出血。 少女はおそらく、10歳くらい。 透き通るような白い肌と、光沢のない瞳。 腰くらいまでありそうな 淡い水色の、ストレートな髪の毛。 ふと見れば、「なんて儚げな少女なのだろう」と思えるほどに、危うい。 そんな彼女は、身にまとっていた 真っ白なコートも、長い髪も、透き通るような白い肌も全て、返り血で真っ赤に染まっていた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加