タカも居ずまいから。

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「ちょっと今いい?」 まゆりと逢澤先輩はまだ何か話しているし、ちょっと離れても問題ないよね。 「あ、はい大丈夫です」 「あそこに座りましょう」 サロンの隅のソファを示す。 「はい」 空になったお皿を給仕に渡し、代わりにリンゴジュースの入ったグラスをもらう。 ソファに座ると美倉先輩が話し出す。 「単刀直入に言うわ、あなた、生徒会に入る気ない?」 「え、生徒会ですか?」 本当に何の前置きもなく単刀直入だった。 「そう。地味な作業もきっちりこなすし適正あると思うわ」 「お言葉は嬉しいのですが…私では力不足かと思います」 「そんなのは今から私が教えていくわよ。誰だって最初は力不足よ」 有無を言わせない圧力を感じる。 「…と、ごめんなさい。ダメね、私。ついつい高圧的な物の言い方になってしまうわ」 「いえ、そんな…」 「返事はすぐでなくてもいいの。しばらく考えておいてくれない?まずは私の補佐的な事をお願いしたいだけなの」 「はい…」 生徒会、かぁ。 まさか自分にそんなお声がかかるとは、と思う。 美倉先輩は話を切り上げるとソファから立ち去った。 私はそこから、サロン全体を眺める。 各個人それぞれに色んな思惑があるんだろう。 目に見えない何か。 ブルッ ふと、そう思った時に寒気がした。 その目に見えない何かは、怖いものなんだろうか。 ・・・鳶さんに、会いたい。 .
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