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風呂からあがると、さっきと変らないままの体勢で女子高生は座っていた。
「…いなくなってるかと思った」
「えっ?」
「まぁ、俺の部屋って金目のモンないしなー」
「そ、そんなことしないです…!」
美人局的に男に助けてもらって帰る場所がない、とか言って部屋に上がり込んで金品盗んでトンズラ…ということでもなかったようだ。
「あっそ。お茶飲む?」
小さな冷蔵庫からペットボトルのお茶を差し出すと、素直に受け取った。
「いただきます…」
ドカッと俺はパイプベットに座った。
「で?話したい事って何?」
「えっと…」
女子高生は困ったように俯く。
「家出だっけ?」
パキュッとペットボトルのふたを開けてお茶を口に含んだ後、俺はそう尋ねた。
「…家出、というか…」
女子高生もペットボトルのふたを開けて一口お茶を飲んだ。
「20時に塾が終わってから、家に帰りたくないなと思って…あの公園にずっといたんです」
「…ふーん」
ってことは、1時間くらい居たってことか。
「何で友達の家とかに行かなかったわけ?」
「…友達、ですか」
俯いて小さな声で言う。
「なに?お前友達いねーの?」
「・・・」
黙り込んだ。
マジで?
マジで友達いないの?
「…友達、って何ですかね」
「は?」
なんだその質問は!!
「…えーと、友達って言うのは気が合って仲の良いヤツで、色んな事相談出来たり遊びに行ったりとか…か?」
友達の定義なんて考えたことねーから分かんねーし(笑)
「…そんなこと出来る人、いません」
「・・・」
はっきり言い切った女子高生に今度は俺が黙ってしまう。
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