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「あの、あなたの名前も教えて下さい」
「は?俺?鳶(トビ)だけど」
「鳶…さん。今いくつですか?」
「…17」
「…うそ」
「嘘じゃねーし」
男が年齢詐称してなんになる(笑)
「学校は…?」
「そんなもん行ってねーよ。世の中の17歳が皆高校2年生エンジョイしてると思うなよ」
「…すみません」
昨日よりやや饒舌になった女子高生…鷹子。
何か今日はやたら質問してくる。
「お前いくつなの?」
「16です」
「高1?」
「はい」
じゃ、まだ高校入って数ヶ月しかたってないじゃん。
「で、何でまた戻ってきたわけ?ここに」
「えっと…なんとなく?」
ガクッ
テーブルに付いていた肘が滑る。
「なんとなくだぁ?もう今日は家帰れよ!親も心配してんじゃねーの?」
「…私の事なんて、気にしない人たちですから」
「…金持ちの家ってそーいうもんじゃねーの?」
両親共に仕事に勤しんでいるので家に居ない事が多くて子供には金だけ与えて放置…とか、父親は仕事が忙しくて家庭を顧みず母親はエステだランチだと忙しい…とか。
テレビだけの話でもなく、現実はだいたいそうだ。
社交の場に関わる両親ならなおさら。
「昔は、そうでもなかったんです」
「まー、時間は流れるから仕方ないんじゃね?」
さして面白い話でもないようなので、俺は雑誌を手に取りパラパラめくる。
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