タカを拾いました。

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「親の敷いたレールが嫌だってんならさ、親から与えられるもの全て吸収してレールの上を走るのが無理なくらい、レールぶっ壊すくらいパンパンになってみたらどうよ?」 「…え?」 例えが変だったかな? 「だからー。例えばお前料理全然ダメじゃん?」 「はい…」 「親の金使って料理教室とかいって料理マスターしてさ。他にも英会話とか習い事行けるならドンドン行けばいいんだよ。 で、吸収したものを最大限に使える場所に出さないと勿体ないって思わせるくらい成長すればいいんじゃねーの?」 ただ単に家の為に結婚させればいいやっていうような立場に居るんじゃなくて。 「親に決められた結婚相手と会った時にさ、この人じゃ私とは釣り合いませんくらい言えばカッコよくね?」 そんな現場を想像して思わず笑ってしまう。 見れば、鷹子もクスクスと笑っている。 「…お前、笑ってる顔の方がいいよ」 「え?」 俺の言葉に鷹子の顔から笑顔が消える。 「だから、それも社交術なんじゃないの?笑顔だよ笑顔」 笑顔さえあれば、多少の事は乗りきれる気がする。 「愛想笑い…ですか?」 「お前バカ?誰かれ構わずへらへらしてたら意味ないっての」 「…あなたの言う事は難しいです」 「そうかー?空気読んで笑えば良いんだよ」 「…例えば?」 鷹子が俺の方にやや前のめりになってくる。 これは、人の話を聞く時の体勢だろう。 心なしか、鷹子の瞳が輝きだしている。 自分が今まで考えた事も無かった事を人から聞かされて興味を持ち始めた証拠だ。
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